子どもの教育資金の準備と言えば、学資保険をイメージする人も多いでしょう。
受け取る予定の保険額の使用目的があらかじめ明確であるため、他の保険と比べてメリットが多いのは言うまでもありません。
しかし、同時に学資保険にもデメリットがあるのです。
ここでは学資保険に加入するときに、さらに加入してから感じる学資保険のデメリットについてまとめました。
これから学資保険を選ぶ際に参考にしてみてください。
1.学資保険に加入するときに感じるデメリット
まずは学資保険に加入するときに感じるデメリットです。
知らないと学資保険に加入できないばかりか、仮に加入できたとしても損をすることもあります。
他の保険とは違う学資保険だからこその加入するときに感じるデメリットを具体的にみていきましょう。
1-1.加入には年齢制限がある
学資保険の加入には保険契約者にも被保険者にも年齢制限があります。
保険会社や学資保険の商品によって年齢制限はまちまちですが、一般的に学資保険の契約者は高齢では契約者になれません。
これは学資保険の保険料支払免除特典に理由があります。
契約者が高齢の場合、保険料を支払う前に亡くなってしまう恐れがあるからです。
また、保険料被保険者については10歳前後までしか加入できないようになっています。
もし小学校や中学校の入学や卒業時期に祝い金をもらえるタイプの学資保険であれば、祝い金を受け取る年齢よりも5年程度は遡って学資保険に加入しておかなければなりません。
つまり、学資保険は他の保険とは違って、保険契約者も被保険者もなるべく早い時期に加入しておかないといずれ加入できなくなる可能性が出てきます。
また、早い時期に加入しておいたほうが定期的に支払う保険料も安くて済みます。
1-2.学資保険は所得税や贈与税の対象になる
学資保険は保険契約者と保険の受取人の関係によって、受け取った保険料が所得税にあたるのか、贈与税にあたるのかが変わってきます。
まず、保険契約者と保険料の受取りが同一人物の場合は受け取る祝い金や保険料は所得税に該当します。
しかし、受け取った保険料から支払った保険料の総額の差が、特別所得控除額の50万円に満たない場合は所得税の課税対象とはなりません。
一方で、保険契約者が子どものお父さんで、受取人を配偶者である子どものお母さんや子ども本人にした場合は受け取る祝い金や保険金はすべて贈与税の対象になります。
贈与税の控除額は110万円と規定はあるものの、多くの学資保険は受け取る保険料が110万円よりも高額であるケースが多いので、贈与税の課税対象になります。
だから、孫のためにおじいちゃんやおばあちゃんが学資保険を契約するというよくある話ですが、贈与税が発生する可能性が高いので誰を保険契約者にするのか、誰を保険の受取人にするのか慎重にしなければ損をします。
1-3.元本割れする学資保険もある
「学資保険のメリットは元本割れしにくいこと」といわれていますが、実際には満期まで保険料を支払っても元本割れを起こす学資保険もあります。
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例えば、医療保障など、教育資金の貯蓄以外に保障が充実しているタイプの学資保険は要注意です。
子どもの怪我や病気のときにも対応できる医療保険がついたもの、親の死亡時に保険金が受け取れるタイプなどは、オプション分が上乗せされた保険料を支払ってします。
だから、満期時に受け取る保険料はオプション分を差し引いた金額になるため、結果的に元本割れを起こすのです。
考え方によっては、医療や死亡の保障も必要だから、学資保険ひとつで全てが賄えるなら悪くないという人もいるでしょう。
しかし、学資保険はあくまでも子どもの教育資金用の準備と割り切って、医療や死亡の保障に関しては別の保険を利用するほうが賢明というケースが多いです。
2.学資保険に加入してから感じるデメリット
次に、実際に学資保険に加入してから感じるデメリットについて触れていきましょう。
学資保険に加入する前には気づかなかった、契約期間に感じる不安、経済状況によって受ける影響などについて触れていきたいと思います。
2-1.支払った保険料は長期的に運用できない
学資保険は貯蓄性が高いため、確実に教育資金を貯められるということがメリットといわれています。
違う見方をすれば、確実に貯められるということは、支払った保険料を引き出す、運用するなどということができないともいえます。
もし、急にお金が必要になった場合に、学資保険を解約して解約返戻金をもらったとしましょう。
一般的に学資保険は満期まで保険料を支払ってしまえば元本割れをしにくいのです。
しかし、途中解約してしまうと、解約するまでに支払った保険料の総額にも満たない解約返戻金が返ってくるだけで損をします。
だから、いったん学資保険を契約したら、途中解約することなく満期まで保険料を払わないと損です。
つまり、学資保険の保険料は長期に渡って拘束されるので自由には運用できないと覚悟しましょう。
2-2.マイナス金利の影響で返戻率が下がる
私たちが銀行のような金融機関にある一定期間お金を預けておくと、預けたお金の利息が増え、ほんのわずかですがお金が増えています。
これまではお金がわずかであっても増えていたので、利息率である金利はプラスでした。
しかし、2016年2月から施行された日本銀行による金利政策はマイナス金利。
これは保険業界にも大きな影響を与え、結果的に保険契約者にも大きな影響を与えることになったのです。
特に学資保険で影響を受けるものが返戻率。
返戻率を決めるものに標準利率と予定利率があります。
マイナス金利政策によりと標準利率が下がり、さらに予定利率が下がることで、結果的に返戻率が下がる仕組みになっています。
2-3.契約時の金利が固定される
学資保険の返戻率が大きければ、満期時に受け取れる保険料が支払った保険料の総額よりも多くなります。
先述したように、返戻率は金利に影響を受けます。
ちなみに、学資保険の返戻率を左右する金利は契約時の金利が満期になるまでずっと適用されます。
だから、もし契約期間にマイナス金利になっても、契約時に金利がプラスであれば、契約期間中の金利はプラスのままなので、返戻率も、満期時に受け取る保険料には何の影響もありません。
しかし、契約期間中にインフレが起きて、金利が大きくプラス変動しても、契約時の金利はずっと固定されたままであるため、何の好影響も受けることはありません。
それどころか、インフレが起きることで学費が値上げする可能性があるため、教育資金が不足する可能性が出てきます。
2-4.保険会社の破綻による保障がない
保険会社も一般企業と同じであるため、経営破綻が起きる可能性もあります。
銀行が経営破綻した場合は1000万円まではペイオフされることが決まっています。
しかし、保険会社が経営破綻した場合は万が一に備えて加入している「生命保険契約者保護機構」から、保険契約者は責任準備金の90%をペイオフとして受け取れます。
ここでいう責任準備金とは、保険会社が将来の保険金や祝い金などの支払いに備えて、契約者から支払われた保険料の一部の積立金です。
つまり、銀行とは違って、支払った保険料の全額が保障されるわけではありません。
さらに、万が一契約中の保険会社が経営破綻し、別の保険会社に契約が変更になっても保険契約の継続はできます。
しかし、経営を引き継いだ保険会社は利率を引き下げることもできるため、支払う保険料が値上がりする可能性もあります。
2-5.親の死亡保障がすぐに受け取れない
学資保険の契約者は子どもの親であることが多いです。
契約者である親に万が一のことがあった場合のために、多くの学資保険には保険料払込免除の特典が付いています。
しかし、満期を迎えるまでの保険料の支払が免除されることはとてもありがたい話ですが、お金を受け取れるタイミングは満期時まで待たなければなりません。
家計を支える親が亡くなってしまって生活に困る…といった場合は、すぐにお金がほしいものです。
一方、生命保険のなかにある低解約返戻金型終身保険もあります。
低解約返戻金型終身保険は死亡保障額が比較的大きく、死亡したらすぐにお金が支払われるものも揃っていますので、死亡時にすぐに保険料が支払われる生命保険のほうが助かると感じる人もいるでしょう。
3.学資保険に加入する際に気をつけたいこと
学資保険はデメリットもありますが、やはり子どもの教育資金の準備には学資保険に入っておきたいという人も多いでしょう。
ここからは加入する前にチェックしておきたい学資保険のポイントについてみていきましょう。
3-1.返戻率がどのくらいか?
学資保険の場合、満期時に受け取れる保険料は返戻率でわかります。
学資保険は契約時に返戻率、受け取れる保険料、金利がすべて決まっています。
具体的に受け取れる保険料の金額を見ても得なのか、損なのかすぐに判断出来ないケースもあります。
したがって、返戻率を確認し、返戻率のなるべく高いものを選びましょう。
3-2.満期の保険料を受け取るタイミング
学資保険に加入する目的の多くは大学受験にかかる費用、大学入学金、授業料など大学に関わる教育資金です。
だから、満期の保険料を受け取りたいタイミングは子どもが高校3年生のときとなります。
しかし、学資保険のなかには子どもが22歳になるタイミングで満期の保険料が支払われるものもあります。
だから、満期の保険料を受け取りたいタイミングもあわせて確認しましょう。
3-3.保険料の支払方法
学資保険の返戻率は支払う回数が少ないほど高くなる傾向があります。
無理のない支払方法で返戻率の点でも人気があるものが満期月まで年1回支払続ける方法です。
次に人気のあるものは毎月保険料を支払う方法です。
いずれにしても家計に無理がなく続けられる支払方法を選びましょう。
3-4.加入するタイミング
学資保険の加入には契約者と被保険者、いずれも年齢制限があります。
多くの学資保険で、子どもが10歳ぐらいになるタイミングで加入できる年齢制限にひっかかってきます。
学資保険には加入できるタイミングがそれぞれの商品で微妙に違いがあります。
加入するタイミングで支払う保険料にも違いが出てくるのでしっかりチェックしましょう。
学資保険にはデメリットがあることを知っておこう
メリットが目立つ学資保険ですが、加入するときに気づくデメリットや加入してから感じるデメリットもあります。
加入するための年齢制限がある保険ですが、焦らずにじっくりとデメリットも考慮しながら加入するようにしましょう。
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